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「WOW! スパイスもほどほどにってね!」
と、イフが、棒読みなのに感嘆符がついていそうな勢いで言った。
「OH! なかなかスパイスがきいた返しだねっ!」
と、俺も、かろうじてイフに合わせてみた。
俺たちのノリは、俺がいた世界のハンバーガーで有名な国のジョークのそれだった。
お互いに、ぬるっとジョークを言い合う始末である。
人と人とのコミュニケーションの基本は、会話だろう。
コミュニケーションにおいて、笑いの効果は大きいものだ。
ジョークが潤滑油となって、会話が弾むこともあるだろう。
ただし、たった今の俺たちの寒々しいジョークは、それには当てはまらない気がしてならなかった。
ジョークは、会話を盛り上げもするし、会話を寒々しくもする。
まさに、諸刃の剣である。
(……ここだっ!)
俺は、かっと目を見開いた。
ここからの一言にすべてを賭けるとこにした俺である。
俺は、オーバーアクションで肩をすくめてみせた。
「でも香辛料たっぷりの麺料理とかも嫌いじゃないよ、スパイスききすぎぃってね!」
と、俺は、成り行きにまかせて、渾身の追い打ちを放った。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!」「HAHAHAHAHAHAHAHA!」
俺たちは、腹を抱えて笑った。





