4-156
「……今の『です』には、ひとつまみの悪意を感じたぞ」
「気のせいDEATH」
ぴゅうううっと吹いた木枯らしが、身にしみた。
俺とイフは、ほぼ同時のタイミングで、
「……はははっ」「……くすくすくすっ」
俺たちは、感情があまりこもっていない乾いた笑い声をたてた。
俺たちは、大げさに肩をすくめた。
(……ままよっ)
と、俺は、心中覚悟を決めた。
会話文が少し多めで主人公の独白も無駄に多めで肝心の話がなかなか進まない、言うなれば、壮大に何もはじまらない。
そんなのは、まっぴらごめんである。
しかし、話の流れはすでにできてしまったのだ、レールは敷かれてしまったのだ。
(ならば乗るしかない、このビッグレールに……!)
俺は、右手をぐっと握りしめた。
やると決めた以上は乗ると決めた以上は、やり遂げるべきだし乗り遂げるべきである。
すぐやる課を自認している俺としては、ひけないところなのだ。
「そう言えば、知り合いのジミーも言ってたな。何て言ったかって? やつはこう言ったのさ」
俺は、一瞬タメをつくってから、
「『会話は香りづけぐらいがちょうどいいんじゃないの?』ってね! はははは」
もちろんジミーという友人はいない。





