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(あれ?)
俺は、再び首を傾げた。
話の流れの雲行きが、怪しくなってきたようだった。
「ソラがへんたいさんだということが、よくわかりました」
イフは、淡々とそう言った。
「……ちょっと。いやらしい人っていうのも不本意だが、何か色々すっ飛ばしていないかな?」
と、俺は、控えめに柔らかく聞いてみた。
「そうですか? そうですよね」
イフは、ふらっと自身でうなずいて、
「ランクアップかもしれませんよ? ランクアップですよね。おめでとうございます」
死んだ魚のような無表情な目のイフが、ほほ笑みながら言った。
「……おめでとう案件じゃないよね?」
俺の静かなツッコみに対して、
「だってランクアップですよ? 名誉なことじゃないですか?」
イフの鉄壁の塩対応である。
「……いや、明らかなに不名誉なランクアップだよね? いやらしい人からへんたいさんだぞ?」
「へんたいさんとひらがなにしているのは、せめてもの情けです」
つららのように冷たいイフの返しだ。
「……いや、会話だから、そのへんの情けとかはあんまり伝わらないよ?」
へんたいさんは、字面で見れば、ひらがな表記やカタカナ表記や漢字表記あるいはローマ字表記などができるだろうが、会話では、その辺は全くわからないからだ。





