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「結論として……」
俺は、Cの部分に、大きく丸印を付けた。
Cの課題は、いかにして、毎日収入として手元に入る金、言い換えれば、とうざの日銭、を稼ぐかという課題だ。
Cの課題をクリアしつつ、Aとある程度関係している仕事に関わるのが、最善策ではないだろうか。
ずばり、俺が導き出した答えは、武器屋のアルバイトだ。
昨日、このヴィセントの街を回った時に、武器屋の看板を見かけていた。
(ここから向かうと、大通りの中ほどの左側だったか)
武器は、その使用目的の一つとして、モンスターを倒すためということが、挙げられるはずだ。
色々な方面から、色々なモンスターの情報を得ることができるだろうし、アルバイト代も稼げて、その日分の食事と寝床の問題も、解決できそうだ。
一石二鳥、いや、一石三鳥である。
(我ながら、冴えているな)
俺が、心中どや顔でいたのだが、それが表情に出てしまっていたらしく、近くを通りかかった親子の内の小さい女の子が、「ママ。あの人、ちょっと怖い……」と言っているのが耳に入ったものだから、俺は、すぐに表情を引き締めた。
武器屋を、訪ねてみるとしよう。
しかも、俺は、事前の手を打ってある。
策士とは、先を見越して、二手三手先を行く者をいう。
アカリの父親、宿屋の銀月亭の主人は、武器屋の主人と知り合いだったので、紹介状を書いてもらったのだ。
これで、最悪のパターンである門前払いの線はない。
まさに、完璧な作戦だ。
「行ってみるか」
俺は、意気揚々とベンチから立ち上がって、歩き出した。