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ひゅううーっと風が鳴っていた。
デエカの落ち葉が、風に舞っていた。
「……え?」
俺は、二の句を告げなかった。
(あれ……?)
俺は、首を傾げた。
これだけのひどい事態を引き起こしたのだ。
罵りやビンタの一つや二つ覚悟していたのに、イフの返しは、意外だった。
「……」
無言のイフは、まだうつむいたままである。
「そうか……」
わかってくれるのかとまでは言えなかった。
それこそ、何だかおこがましい気がしたのだ。
「……わかりました」
と、イフが、同じ台詞を言った。
ただ、そのわかりましたという言葉のニュアンスが、了承したという意味合いのものには、少しも感じられなかった。
むしろ、諦観すなわちあきらめのニュアンスが、じんわりと伝わってきた。
あいかわらず、イフは、俺と視線を合わそうとはしない。
「ソラがいやらしい人だということはわかっていましたが……」
と、イフは、静かに言葉をつむいだ。





