4-145
一連の事態は、二人で肩車での俺がイフのワンピースの中に頭を突っこんでいる、からの、倒れ込んでの俺がイフのワンピースの中に頭を突っこんでいる、である。
改めて具体的に想起すると、えらい事態のコンボである。
(……ああ)
俺は、心中嘆息した。
えらい事態というよりも、やばい事態だ。
格闘ゲームで言えば、ジャンプ大キックからの地上大パンチからのキャンセル対空必殺技で相手の体力ゲージを八割奪うコンボくらいの、ヤバみだろう。
とてつもなく気まずい雰囲気が、俺たちの間にたちこめていた。
俺は、倒れこんだ時の痛みを引きずりながら、あおむけの状態から立ち上がった。
イフは、うつむいたままだ。
心なしか、トレードマークの白銀のサイドテールも元気なくしなだれているようにも見えた。
「……すまん」
俺は、そう言った。
一連の事態について、偶然とか不可抗力だとかは理由ではある。
理由はまた、結果について説明ができる。
しかし、理由が、結果を変えられるわけではない。
起こってしまったことは、覆らないのだ。
それならば、できることをして言うべきことを言うのが、筋というものだ。
数秒間の間があって、
「……わかりました……」
うつむいたままのイフが、ぽつりと言った。





