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「……」「……」
二人とも、黙っていた。
「……ふ……ふぇ……」
俺からはイフの表情は見えないが、今にも泣き出しそうな声が、聞こえた。
不可抗力とは言え、未曾有のハプニングである。
意図せずして、イフの白いお腹が見えた。
ずっとデエカの実の採集で身体を動かしていたからだろうか、汗ばんでいてほのかな暖気さえ感じる。
一すじの汗が、イフのお腹を伝っているのが、わかった。
「……ふ……ふぇ……っ……」
イフの身体がぴくんと揺れて、危うくお腹より上の全体が見えそうになった。
(ぎゃああああああああああああああああああああああああああああっ!)
俺は、心中叫んでいた。
ここは現実世界だからこんなことを言うのはナンセンスだと理解しているが、この状況は何とかコードにもひっかかりかねない、そう思った。
お腹より上のなだらかな二つの丘が、わずかに揺れていた。
丘の下半分が見えてしまっている状態だ。
イフは、いわゆるひかえめなその胸には下着はつけていない。
俺の脳内で、まな板にしようぜという言葉が呪詛のように反芻連呼されていた。
俺は、唇を噛んだ。
これは、役得とみせかけた毒だ。
俺の感情パロメーターは、乱高下を繰り返していた。





