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(なん……だと……)
俺は、手足に鈍い痛みを感じながら、狼狽していた。
何も見えないのだ。
いやこの表現は正確ではない、単一色だけしか見えないのだ。
(俺たちは……倒れたわけで……)
思案しながら状況を整理しようとするが、何ともまとまらなかった。
それに、先ほどの石鹸のような香りがより際立っているようにも感じた。
鼻孔をふわっとすぅっと突きぬけていく感じである。
石鹸の香りのようでもあるし、ほのかな甘いミルクの匂いのようでもあるし、かすかな花の香りのようでもあった。
俺の視界は、再び真っ白になっていた。
白一色だ。
そして、先ほどの白さとは微妙に異なる白さである。
正確に言えば、先ほど視界にとらえていた白さはイフのワンピースのものである。
(……何て……ことだ……)
俺は、理解した。
今まさに視界にとらえている白さは、イフの下着の白さだ。
ありていに言ってしまえば、イフの白いパンツのふにっとした感触が、ダイレクトに俺の顔面に届いているのである。
俺の顔面に、イフが馬乗りになっている恰好なのだ。
おまけに、俺の頭が、イフのワンピースの中にすっぽりと収まっている事態である。
先ほどの肩車の時も酷かったが、その上をいく酷さである。





