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イフをかばうように、俺はイフの腰のあたりに手をやって抱きとめた。
「く……っ!」
まるでスローモーションのように、俺の視界が、地面から森の木々へそれから空へとゆっくりと移り変わっていった。
雲の白さと空の青さが、瞬間的に目に焼きついた。
気づけば、俺たちは、倒れ込んでいた。
もう少し詳細に言えば、次のようである。
すなわち、俺は、地面にあおむけに倒れ込んでいた。
そんな俺の上に、イフが、倒れ込んでいた。
「……つつ」
と、俺はつぶやくように呻いた。
意識は、しっかりしている。
デエカの落ち葉がクッションになったようで、幸いにも頭を強く打つなどの事態は避けられたようである。
そのかわり、手足はそこそこに痛かった。
四肢の感覚を確かめると、じんわりとした痛みが広がっていた。
足の小指をタンスの角でぶつけた時の全身バージョンのような感じだ。
(後で、あざになるパターンだな、これは……)
と、俺は、内心苦笑した。
イフは俺の上に倒れ込んでいる形だから頭などは打っていないだろうと思われる、一安心だ。
(よかった……)
安堵した俺だったが、異変に気づくのに、時間はかからなかった。





