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イフが、声になった絶叫をあげていた。
気が動転したイフがさらに身体を揺らしたものだから、それに連動するかのように、俺の身体も揺れてしまう。
いくらイフが小柄で軽いとはいえここまで暴れられてしまっては、視界のきかない状態も相まって肩車の体勢を保てなかった。
視覚を封じられていて平衡感覚が保てなくなってしまったのだ。
「ふあぁあぁああああああっ……!」
イフの叫び声に合わせるかのように、俺たちは一気に前のめりになった。
「……こ、こらっ! あんまり動かないでくれ……!」
「……で、ですがっ!、ソラが……」
今度は、逆に一気に後ろのめりになった。
さらについていないことに、俺の右足が少し大きめの石につまずいたらしかった。
(まず……いっ!)
そう思った時には、時すでに遅しである。
「ひぃあああああああああっ……!」
「うぉおおおおおおおおおっ……!」
俺たちの声が、一際大きくあがった。
二人とも、大きく体勢を崩してしまった。
もはや、倒れ込むことは避けられなかった。
万事休すである。
(……ままよっ!)
こうなった以上できるだけ被害が少なくなるようにするしかない、俺はとっさにそう判断していた。





