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「わかりました。ソラ、大丈夫ですか?」
視界が遮られてはいるもののそこまで難儀することもなさそうである。
「ああ……前も見えないけれどな、それに何か石鹸みたいないい香りがす……」
刹那、肩車の体勢がぐらっと激しく崩れた。
「~~~~~~~~~~~~っ!」
イフが、声にならない絶叫をあげていた。
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
俺も、意表を突かれた形だから、
「ど、どうしたっ?」
と、聞くのがやっとだった。
「……っ……っ……いや、いやらしいっ! いやらしいっ! いやらしいです、ソラッ!」
イフが、すっかり動揺してしまって、身体全体で暴れていた。
(ええ……っ!)
後方に重心が偏りそうになったのを、踏みとどまることで何とか回避した。
イフの言動から察するに、俺は何かしらの地雷を踏んでしまったらしかった。
「……ま、待て待てっ! いきなり何なんだ……っ?」
俺は、イフをなだめようとするのと肩車の体勢を維持しようとするのを何とか同時進行でこなしていた。
「状況を説明しただけだぞ。前が見えないっていうのと、何だかいい香りがするっていうの……」
俺が最後まで言うのを遮るかのように、
「わあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」





