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2-5

 俺は、自身を過大にも過少にも評価するつもりはない。


 夢をなくしてはつまらないが夢を持ちすぎるのも危うい、過ぎたるはなお及ばざるがごとしである。


 現状での俺のステータスは、一介の住人だ。


「ここは〇〇の街です」と決まった台詞しか言わないようなNPC(ノンプレイヤーキャラクター)の通行人Aの状態かと思われる。


 そんな俺にとっては、リミット九十九日間の魔王討伐は、無理ゲーに等しい。


 無理ゲーを打破するのに、起死回生の手を打ちたくもなるが、古今東西の歴史をみる限り、そんな一発逆転はそうそう起こりえない。


 格闘ゲームで言えば、体力差が大幅にある状況で、ばくちの一撃必殺技を発動したところで、ガードされるのがオチで、それをするぐらいなら、小足をきざんで、連続技を何セットか狙うほうが、勝率は高い。


 堅実的な手法こそ、現実的なのだ。


 いきなり魔王うんぬんではなく、まずは、モンスターや魔獣や魔族に関する情報を収集していかなければ、はじまらないだろう。


(今のところ、魔王の情報としては、ディストピアという名前だけしかないからな……)


 Aの課題は後回しにしつつ、しかし、Aを念頭に入れつつ、他の課題を考えていくのが、よさそうだ。


 次に、Bの課題だが、この異世界で活動するために、衣食住が重要だろう。


 厭世家(えんせいか)を気取って、どこかの山に籠って人と交わることなく晴耕雨読(せいこううどく)よろしくひっそりと暮らしていくというのなら、話は別だが、あいにく、俺は、ペシミストではない。


 まずは、このヴィセントでの生活を確立することが、大切だ。


 最後に、Cの課題だが、この異世界で活動する以上、もっと簡単に言えば、生きていく以上は、金が必要だ。


 生きるための重大要素である衣食住のどれにしろ、金が必要になることは、昨日の宿屋の一件で、よくわかっている。


 問題は、どう稼ぐかだ。


 社会人ではない俺が、仕事として関わったのは、アルバイトのみで、その経験も、たった一種類で、夏休みの間、本屋のアルバイトをやったことがある。


 紙のブックカバーをかけるのが苦手で、お客さんに急かされることも、しばしばだった。


 バイトリーダーの女子大学生にも、九重君はもう少し要領がよくなったら効率も上がるのにねえと、励ましとぼやきのアドバイスをもらったものだ。

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