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俺は、公園の広場のベンチに腰かけていた。
公園と言っても、俺のいた世界のそれのような、滑り台やブランコといった遊具が設けられているわけではない。
簡素な木製のベンチが置かれていて、小さめの花壇が点在する、プチ広場という表現がしっくりとくる場所である。
落ち着いて考え事をできる場所をアカリに聞いたところ、この公園を教えてくれた。
子供連れや、カップルと思われる二人組や、読書する中年、ギターのような楽器を嗜む老夫婦と、老若男女、さまざまな人たちが、好きなように時を過ごしていた。
気をはらなくていい空気が、ゆっくりと流れていた。
「確かに、ここなら、落ち着いて考えられそうだ」
と、俺は、独り言ちた。
アカリが持たせてくれたパンを一口頬張ってから、学生服の内ポケットから、生徒手帳とボールペンを、取り出した。
パンには、乾燥果実が練り込まれていて、生地のほどよい堅さと果実のほどよい歯ごたえがマッチしていて、美味しかった。
(状況を、整理しよう)
と、俺は、思った。
とりあえず、思いついた課題は三つで、手帳のメモ用の白紙のページに、箇条書きにしてみた。
Aどうやって、魔王を倒すのか?
Bどうやって、衣食住を確保するのか?
Cどうやって、金を稼ぐのか?
書き出して、客観的に眺めてみると、AとBCの間には、とてつもなく厚い壁というか大きな飛躍がある、というか、ありすぎである。
まず、Aについてだが、目下、最大にして最難関の課題だろう。