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イフは、ある一点を指さしていた。
イフの形の整った幼さの残る唇が、ぱくぱくと開いたり閉じたりしていた。
「ソ、ソソ、ソラ……っ!」
俺も、はっとしてイフの指さす方向を向いていた。
俺たちの視線の先には、目を奪われるような立派な金色のデエカの実が、枝になっていた。
俺たちがせっせとバスケットに集めていた実とは、明らかに異なっていた。
はっとするような金色であることもそうだが、明らかに大きさが違う。
その大きさたるや、ゆうに三倍はあるのではないだろうか。
(……やはり、そういうこと……かっ!)
俺の確信の心の声に合わせるように、
「ハイパー・プレミア・マックス・レア・ゴールデン・チアフル・ボリノア・スペシャル・デエカ・フルーツですっ!」
と、イフが、大きな声をあげた。
「ハ、ハイパー・プレミア・マックス・レア・ゴールデン……やっぱり覚えきれるわけないだろっ!」
俺たちは、と言っても主にはイフのほうだが、突発的なテンションに包まれていた。
「ソラ」
と、俺は、イフに呼ばれた。
「肩車、お願いできますか?」
と、イフが、言った。
なるほど、微妙な高さ、俺とイフの身長を合わせたのよりも若干低い位置に、金色のデエカの実が木の枝になっていた。
イフが言うように、肩車をすれば届く高さだろう。





