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(うーむ。この感覚は……たしか……)


 屈みながら一生懸命デエカの実を採っているイフを見た。


 少し汗ばみながら楽しそうに採集しているイフである。


 俺は、もやもやとした懐かしさの正体を探ってみた。


 はたして数秒後には、俺は自身の中で回答を得ていた。


(まるで町内会の公園の草取りだな)


 と、俺は、思った。


 公園の草取りは、経験したことがあるのではないだろうか。


 俺が住んでいた地域では、年に数回、町の恒例行事(こうれいぎょうじ)として行われていた。


 参加者は、下は小さな子供から上はお年寄りまで幅広い層だ。


 公園の雑草だが、黙々とあるいは適度に談笑しながら草取りをするのだ。


 サッカーや野球で使っているグラウンドやベンチや遊具など、ある程度分散して、各々のペースで草取りをこなしていく。


 今思い返してみると、草取りの途中なのにアリの巣が無性(むしょう)に気になったり友人たちとの話に夢中になったりと、何ともふわっとした感じの草取りだったようだ。


 二時間から三時間ほどで草取りは終了だ。


 終了後は、当時子供だった俺は、アイスキャンディーを町内会の人からもらった覚えがある。


 草取りの報酬と言うと大げさで、ご褒美(ほうび)的なものだ。


 アイスキャンディーは、小学生くらいのイメージキャラクターが描かれたパッケージが特徴的なものだった。


 ストロベリー味、レモン味、マスカット味と、アイスキャンディの種類は豊富だったが、俺は断然ソーダ味派である。


 俺の友人がストロベリー味のアイスキャンディーをもらってその場で食べ終わった時にそれが当たり棒が出てもう一本と町内会の人にせがんでいたのも、いい思い出だ。


 そんな公園の草取りをするのと、デエカの実を集めるのは、似ていた。

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