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俺たちは、黙々(もくもく)と作業に没頭した。
「……」「……」
二人とも無言で屈みながら、デエカの実を拾い集めていた。
淡々とした作業である。
「……」「……る~るるる~」
地道な作業である。
「……」「……る~るるる~るるるるる~る~」
拾っては少し移動しまた拾っては少し移動しの繰り返しである。
「……」「……る~るるる~る~」
イフは、ちらっと俺のほうを見ながら、
「……ソラ」
「少し歌うくらい別にいいだろう? ……る~るるる~……」
「……いえ、もう少し歌上手だといいですね……」
イフの遠慮がちな上目遣いに、俺は、反駁して、
「……ほっとけ! ……る~るるる~……」
二人とも屈みながら、デエカの実を拾い集め続けた。
「……しかたがないですね……るるる~」「……る~るるる~」
やはり地道な作業である、拾っては少し移動しまた拾っては少し移動しの繰り返しだ。
「……る~るるる~るるるるる~る~」「……る~るるる~るるるるる~る~」
いつのまにか二人で歌っている曲は某長寿番組のオープニングテーマである、名曲だ。





