4-116
「ハイパー・マックス・プレミア・レア・ゴールデン・ボリリア・デエカ・フルーツだよっ!」
俺は、思わずツッコんでいた。
すさまじく長ったらしい名称である。
「植物学者の権威ボリノア博士が発見したので、そう名付けられています」
イフは、真顔で人差し指を上にあげて、
「ソラ、訂正です。ハイパー・プレミア・マックス・レア・ゴールデン・チアフル・ボリノア・スペシャル・デエカ・フルーツ、です。プレミアが抜けていますし、スペシャルも言っていない。そして、ボリリアではなくてボリノアです。人名を間違えるのは、失礼でしょう?」
と、丁寧な説明口調で言った。
的確な指摘である、的確な指摘ではあるが、俺は、
「ツッコミどころそこぉっ? たしかに、動物や植物や恒星に発見者の名前が冠されることはあるけどさぁっ!」
と、声をあげていた。
「その通りです。問題はありません」
イフは、きわめて落ち着いた調子で言った。
「問題はありそうだけどっ?」
「そうでしょうか?」
と、イフが、聞いた。
「何でそんなに持ってまわったように長い名称なのっ? プレミアとレアで少し意味かぶってるし何でゴールデンで何がチアフルなのっ?」
気になる点が充実しすぎている、さながら疑問の歳末セールぐらいの勢いはありそうだ。
「一度にする質問は一つにしたほうがいいですよ」
イフは、ふうとため息をついた。
「多くもなるわっ! 長い名称なのに、内容とか意味もあまり伝わってこないし!」





