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「よし」
と、俺は、言いつつ、背負っていたバスケットを地面におろした。
目標の採集量は、持参したバスケット一籠いっぱいだ。
俺は、屈んでデエカの実を一つ手に取ってみた。
「軽いな」
俺が実をまじまじと見ながら言うと、イフは、
「見た目通りですからね」
と、言った、
「その言いかただと、結構詳しいのか?」
少なくとも、デエカの実を見るのは、初見ではないのだろう。
「薬草づくりでも使いますから。この実は薄茶がかっていますが、ごくまれに、とくに高い効能が見込まれるハイパー・プレミア・マックス・レア・ゴールデン・チアフル・ボリノア・・スペシャル・デエカ・フルーツという実があるそうです」
「……おい」
俺は、思わずじと目になっていた、頬に冷や汗まで感じていた。
「すごくわかりづらいぞ」
イフは、申しわけなさそうに、
「すみません。効能の説明が、まだでしたね」
「いや。問題は、そこじゃないだろう」
俺は、すっと言った。
「……と言いますと?」
俺の意図を汲みかねてか、イフは、小首を傾げた。





