4-114
(とにかく)
と、俺は、内心気合を入れた。
イフが、これだけやる気まんまんモードなのだ。
俺も、遅れを取るわけにはいくまい。
「そうだな」
イフのうんっというガッツポーズに合わせるように、俺もうむというサムズアップをした。
「やるか」
俺たちは、頷きあった。
デエカの木の生態については、事前に、冒険者ギルドの受付のマーシャルから聞いていた。
デエカは、落葉高木である。
落葉は、ある季節に定期的に葉を落とす植物の性質のことだ。
今目の前に広がっている葉が地面いっぱいに広がっている光景が、示す通りである。
デエカの花は、風媒花で、花弁は目立たなく小さい。
風媒花は、文字通り、花粉を雌しべまで運ぶための運送方法が風に運ばせることつまり風媒である花のことだ。
デエカの実は、片翼の翼果が二つずつ種子側で密着した姿でつく。
翼果は、果皮の一部が平らな翼状に発達した果実のことだ。
デエカの実は、薄茶がかっている。
また、実が脱落するときには、空気の抵抗を受けて回転することで滞空時間を稼いで、風に運ばれやすくなっている。
森の構造も手伝ってか、そのあたりの詳しいことはわかならないが、このネムリアの森のデエカに限っては、比較的遠くまで実が飛ばず、採集が容易なのが特徴らしい。
たしかにあかね色のデエカの葉の絨毯の中に、ちらちらとデエカの実が散在しているのが見てとれた。





