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森の入口から進んで三十分ほど奥に進んだだろうか。
急に開けた場所が俺たちの視界に飛び込んできた。
今まで見てきたものとは異なる趣きの木々が、生い茂っていた。
その木々の影響もあって、日の光りが歩いてきた他の場所と比べると多く森の中におりてきている。
イフは、三百六十度上方を見回しながら、
「着いたようですね」
と、言った。
「これが、デエカの木か」
と、俺も、応じた。
クエストの目的地である調達場所に着いた。
はたして、何本ものデエカの木々が根を下ろしていた。
外見は、俺のいた世界のカエデの木に似ていた。
「綺麗ですね……」
と、イフが、感嘆のため息まじりに言った。
俺のいた世界の秋の紅葉、そんな情景だ。
風情があるという表現が、びったりかもしれない。
特徴的な葉の形も似ている。
地面に落ちているたくさんのデエカの葉は、まるであかね色の絨毯だ。
「綺麗だな……」
と、俺も、イフに応じるように言った。





