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イフは、きっと目に力を入れて、
「では、すべてが終わっていますね」
「落としかたが辛辣すぎっ! 追い打ちかけすぎっ!」
殺伐としたイフの指摘に、俺は、思わずツッコんでいた。
イフが、むうと頬をふくらませた。
「わがままですね。しかも、すぎすぎ言いすぎでしょう」
すぎを連発しているとのイフの指摘は事実である。
だが、一言物申したい気持ちになったのも事実である。
「すぎすぎ言いすぎと言っているイフもすぎすぎすぎだからな?」
「すぎすぎすぎって何ですか?」
「すぎすぎ言いすぎの省略形だな」
お互い、すぎという言葉を連発して、早口言葉のようになりつつあった。
「すぎすぎ言いすぎを省略して、すぎすぎすぎと言っても、たった二文字しか省略されていません」
「細かいことは気にするな。省略したのは、思いつきだし気まぐれだ。ともかく、すぎすぎすぎなんだ」
「すぎすぎすぎ言うほうが、すぎすぎすぎです」
もはやめちゃくちゃである。
すぎすぎすぎとはすぎを言いすぎであるし、もはやナレーション練習用の文句かはたまた呪文かといった様相だ。
「……収拾がつかなくなる前に、このへんにしておこう」
「……ですね」
俺たちは、意見の一致をみた。





