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イフは、若干言いにくそうな神妙な顔で、
「……一匹のスライムの突進攻撃を三回ほど防げるくらい、そこそこ……です」
と、言った。
「……お、おう」
俺の締まりのない返しだった。
確かに、そこそこのようである。
これ以上、この話題に触れるのはやめておくことにした。
「以上となります」
と、イフが、言った。
これで、五つの魔法瓶すべての説明をうけたことになる。
火属性の疑似攻撃魔法"小さな赤"、水属性の疑似攻撃魔法"小さな青"、風属性の疑似攻撃魔法"小さな緑"、疑似回復魔法"小さな恵み(リトル・キュア)"、疑似防御魔法"小さな盾"、の五つである。
攻撃、防御、回復と一通りそろっている、まさにオールラウンダーである。
「今見せてくれた魔法瓶は全部、イフが作ったんだろう?」
と、俺は、聞いた。
「はい。私が、調合しました」
イフは、続けて、
「疑似攻撃魔法、疑似防御魔法、疑似回復魔法、の初歩的なもの、これが今の私の錬金工学の知識で作れるものです」
と、言った。
イフは、具体的な魔法瓶の作り方もとい調合の仕方の説明をしてくれた。
俺は、イフの説明を聞きながら、イフがいろいろな家を回って薬を調合していたことを思い出した。





