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「それに、この"小さな盾"は調合が難しくて、他の四つ魔法瓶と比べるとまだまだうまく作れないんです」
イフは、気恥ずかしそうに、
「……ですから、最後の魔法瓶に関しては、試作品のようなものです」
と、言った。
(なるほどな)
一口に魔法瓶と言っても、生成に難易の差があるということなのだろう。
どちらかと言うと謙遜家であるイフが言っているのだ、"小さな盾"は調合が本当に難しい部類に入るのだろう。
そういう難しいものも作れてしまうイフは、やはり大したものだ。
「いやいやそれほどでもあるだろう。それで、その空気の防壁っていうのはどのくらいの防御力なんだ?」
「そこそこです」
イフのかっちりとした答えだった。
「例えば?」
「まあそこそこです」
イフのまあかっちりとした答えだった。
「……具体的には?」
「結構そこそこです」
イフの結構かっちりとした答えだった。
イフは、そっと目を逸らした。
「……」「……」
俺たちは、数秒互いに黙った。





