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瓶には、様々な色の液体が、入っていた。
それぞれ色が異なることから察するに、五つのガラス瓶は、それぞれ別の効果をもつものと思われる。
淡い赤色の液体が入った瓶は、"小さな赤"の魔法瓶だろう。
「"小さな赤"は、わかりますよね?」
と、イフが、淡い赤色の液体が入った瓶を見ながら聞いた。
「ああ。だから残りのガラス瓶四つについて、教えてくれ」
と、俺は、言った。
イフは、綺麗なオーシャンブルーの液体が入っている瓶を、手に取った。
「これは、"小さな青"、水属性の攻撃魔法の疑似魔法です」
赤と青、対照的な色の取り合わせだがそれを冠した名前ならばと、俺は考えた。
「"小さな赤"と、対になっているような感じかな?」
俺は、何となくそう思えて、聞いた。
イフの言葉のニュアンス的に、水の塊をつくり出す水の疑似魔法といった感じだろうか。
「その理解であっています。このガラス瓶の中の疑似魔法水で空気中に放物線を描いて、その軌道線上に水の攻撃波をつくり出して対象に放ちます」
と、イフは、言って、
「火属性の魔法が効かないモンスターには、水属性の魔法が有効だったりするそうです」
と、続けた。
「なるほどな」
俺は、得心した。
例えば、炎の化身のような鳥型のモンスターと対峙したとして、炎の魔法と水の魔法どちらが有効かと言えば、高い確率で後者のほうだと思われる。





