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二日目の朝が、やってきた。
目覚まし時計でもなくモーニングコールでもなく、自然に目が覚めたのだが、この感覚は、随分と久しぶりで、心地よかった。
俺は、大きく背伸びをした。
慣れない場所で寝ていたから、肩の辺りが少々痛かったが、ぐるぐると腕を回したら、すぐに楽になった。
「さて……」
俺は、軽く息をついた。
窓の外を眺めると、今日は、快晴である。
太陽の光が射し込んできて、俺は、眩しくて、目を細めた。
昨晩、移動した本の山を、元の場所に戻して、部屋を出た。
気分爽快とまではいかないが、睡眠時間は十分にとったから、疲労はだいぶ回復したようだし、頭もすっきりしている。
剣と魔法のRPGの世界では、宿屋に泊まれば、HP及びMPが全快するのが、お約束だが、俺の場合も、八割がたは回復している気がする。
要は、気の持ちようだ。
プラシーボ効果とか偽薬効果とか呼ばれているが、本来は薬効として効く成分のない薬を投与したにもかかわらず、病気が快方に向かったり治癒する場合があるらしい。
(気を取り直して、仕切り直しだ)
と、俺は、思った。
昨日は昨日の風が吹いていたし、今日は今日の風が吹くはずである。
停滞は、後退を招きかねない。
君子危うきに近づかずとも言うが、今の俺の状況でそれを当てはめるのは、泥沼に片足を突っ込んだまま何もしないのと同じで、今はとにかく動く時だ。
模試の数学の問題や歴史の記述の問題で、全く見通しが立たない場合でも、試験時間という制限があるならば、とにかく書き始めてみると、うまくいったりするパターンを、俺は、信じてみることにした。
廊下に出ると、タオルを両手いっぱいに抱えたアカリに、出くわした。





