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とにもかくにも歩きづらい。
「……っと」
体勢を崩しそうになって、俺は、声をあげた。
足元に注意しないと、転びそうになる場所もあった。
森林浴を楽しむような爽やかな雰囲気と言うよりも、不気味な雰囲気と言うほうがしっくりきた。
薄暗さも相まって、ちょっとした胆試しの様相だ。
昼間なのにもかかわらず暗いから、木々の間から射し込むわずかな日の光りと手元の携行ランプが頼りだ。
ざくっざくっと草と土を踏み込む俺たちの足音が、ゆっくりと響いた。
「デエカが多く自生している場所は、もう少し奥のようです」
と、イフは、俺のやや後ろを歩きながら、言った。
「少し聞いていいか?」
と、俺は、言った。
「はい。何でしょうか?」
と、イフが、聞いた。
イフの歩く速度は、お世辞を言ったとしても決して早くない。
俺とは歩幅そのものが違うのだから、歩く速さは、違って当然である。
しかも森の中だから、大きめの岩などもごろごろと転がっていて、草原とくらべると、足元がかなり頼りない。
俺は、ゆっくりめに歩きながら、イフのほうを向いて、
「イフの魔法瓶について、少し知っておきたい」
と、言った。





