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調達クエストの目的地であるネムリアの森には、たどり着いたのだ。
目的地に着いたからには早速調達エリアで調達を開始するのが、肝要である。
「調達対象は、デエカの実だったよな?」
と、俺は、聞いた。
「はい。この入口から少し進んでいくと、デエカの木々が密集している場所が、あるようです」
クエストの詳細が書かれた紙片を見ながら、イフが、言った。
「よし。デエカの木が自生しているところまで行こう」
俺は、採集用の大きなバスケットを背負いなおした。
今回のクエストでは、この大きめのバスケット一籠いっぱいのデエカの実を持ち帰ることが、達成条件である。
「はい」
イフも、頷いた。
俺たちは、森の中へと進んでいった。
俺とイフの二回目のクエストの舞台は、ヴィセントの街から五ロキルトーメ、すなわち五キロメートルほど離れた、ネムリアの森だ。
森に入って感じたのは、予想以上に暗いということだ。
日中にもかかわらず、冬の夕方のような薄暗さである。
聞くところによると、狩人など特殊な者を除いては、人が立ち入ることはほとんどないらしい。
一言で言えば、うっそうとした森である。
公園の中にあるような小規模の森とは違っていた。
当たり前だが、地面は、公園のように歩くことを前提としてはいない。
人工的にならされた地面ではないのだ。





