4-93
「……」「……」
俺もイフも大見得をきったポーズのまま固まっていた。
イフが、遠慮がちにちらっと俺のほうを見た。
俺もイフも、無理な格好をしているものだから、手足がぷるぷると震えていた。
無言の微妙な空気を即時にキャンセルすなわち即キャンするように、
「よぉしっ! 準備は整ったぞ!」
と、俺は、大きな声で言った。
「は、はいっ」
と、イフも、俺の声の大きさにつられるように大きな声で応じた。
ゴリ押しフルセットというやつである。
ファーストフードで言えば、ポテトをLサイズにしてコーラもLサイズにしてさらにシェイクまで頼んでいるようなフルセットぶりである。
ちなみに、セットを頼む際の飲み物は、コーラやサイダーや炭酸飲料や烏龍茶、コーヒーなども選択可能だが、俺は断然コーラ派である、異論は認める。
俺は、改めてきっと頭を上げた。
(ネムリアの森、か……)
と、俺は、思った。
名称的にいかにも、剣と魔法のRPGの世界に出てきそうだ。
(ネムリア……女の子の名前みたいだな……)
漠然とそんなことを考えながらも、すぐに、
(……って山田の話にあてられているな、俺も……)
と、俺は、内心苦笑した。





