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俺は、オーバーアクションで宣言するように言った。
「あの……それは、さっき聞きました」
イフが、控えめに手を挙げながら言いにくそうに言った。
(ええいっ……! このまま押しきるのみ!)
と、俺は、心中自身を奮い立たせた。
「クエストはっ……これからだっ!」
右手の拳をぐっと握りこんだ俺である。
「えと……たしかに調達クエスト自体はこれからですね……」
イフが、きっとわけもわからないのだろうが、一生懸命に合いの手を出してきた。
(よし……このままっ!)
と、俺は、心中さらに自身を奮い立たせた。
「先生の次回作にっ……ご期待くださいっ!」
右手に加えて、左手の拳をぐっと握りこんだ俺である。
「そこの詠唱……なんでしょうか? ……よくわからないんです」
イフは、真面目に答えてくれていた。
わかるわけはない、俺もわからない、そもそもイフが考えているようなまじないや詠唱の類ではないのだから、当然だ。
「次回作にっ……ご期待くださいっ!」
俺は、大見得をきった。
「えと……ご、ご期待くださいっ!」
きっとわけもわからないにちがいない、それでも、イフは、俺と同じポージングを決めた。





