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俺は、ここぞとばかりにネタをツッコんだ。
これは、漫画においてまだ続きがあるような描写を残しつつも打ち切りである最終回での常套句の一つである。
走り出すポーズもおまけでつけてみた。
七割五分くらいの打率は誇る、ど安定のネタである。
このネタが通じない場面は、あまり考えられない。
「……それは、何かのおまじないですか?」
イフが、真顔でさらりとそう聞いた。
俺も、走り出すポーズのままぴたりと静止して、真顔になっていた。
わかっている、イフはまじめに聞いてきているのだ。
「……」「……」
微妙な沈黙が、俺たちを包んだ。
(……だよな。ここでは通用しないよな)
俺は、淡々と思った。
何ということだろう、少し冷静になればわかる話である。
俺がいた世界の漫画の分野での文化やネタが通じるとは限らないのだ。
(……ままよ!)
俺は、内心大きく息をついた。
俺は、そのまま直進することにした、ゴリ押しというやつである。
俺は、すっと前方を指さした。
「俺たちのクエストはっ……これからだっ!」





