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(暖かい……)
毛布にくるまった俺は、とてもシンプルな感想を、心の中で、呟いていた。
先程のアカリの笑顔は、俺にとって、清涼剤であり、ガラス片でもあった。
屈託のない笑顔に癒されながらも、胸が苦しかった。
(俺は……独りだ……)
既にわかっていたことで、何となく無意識に目をそむけていたのだ。
夜の静けさは、俺の思考回路を冷却して俺を冷静にせしめ、また、孤独感を認識させた。
柔らかい月の明かりが、部屋に、射し込んでいた。
筒子めいた牌を、手慰みに、いじりながら、俺は、
(これから、どうしようか)
得体のしれない漠然とした不安の波が、ゆっくりと押し寄せていた。
一日が、終わったのだ。
女神の言葉通りならば、このままだと、この異世界の有期契約住人である俺は、消える。
有期契約期間は、百日間だから、残りは、九十九日である。
(残された期間は、九十九日)
存在契約が切れる九十九日後には、この世界における俺という存在が、終わりになり、消滅する。
「俺は……どうすればいい……?」
身体が、重たい。
今日一日で色々ありすぎたからだと思うが、疲労感が尋常ではなかった。
俺は、そのまま、深い眠りに落ちていった。





