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「……」「……」
俺たちは無言で見つめ合った。
しばらくすると落ち着いてきた。
「……このへんにしておきませんか?」
イフが、確認するように慎重な言いかたをした。
「……同感だ」
俺も、イフの出方を探るように慎重な言いかたをした。
「……ふぅ」「……ふ~」
二人して、ほっとため息をついた。
寒空の中、自動販売機のあたたかいペットボトルのレモンティーや缶のコーンポタージュを飲んだ時ぐらいのほっと感である。
横道にそれる話だが、缶のコーンポタージュはコンポタと呼ぶことにしている、異論は認める。
缶の底にコーンをいかに残さずに飲みきれるか、これがコンポタ勢の宿命なのだ。
(よし……)
どうやら、俺のダジャレによって突発的に巻き起こった寒波は何とか乗り切ったようだ。
イフは、歩きながら、気を取り直したように、
「そういえば、冒険者ギルドでの待ち合わせ、ゴンリを買ってくれていたから、少し遅くなったんですか?」
と、聞いた。
「武器屋にも寄っていたからな」
と、俺は、返した。
思い返してみれば、意外と長い時間、武器屋にいたようだ。





