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「わざとじゃないぞ……?」
俺は、そんな慎重な言いかたをした。
ボケもツッコミも流れも何もない中で、ストレートにダブルダジャレに走ったとなれば、ことである。
「……そういうことにしておきましょう」
イフも、慎重な言いかたをした。
「ああ……」
言葉にならない声が、もれた。
青空広がる草原の中、俺たちは凍えていた。
「寒いので……マッチは……ありませんか?」
イフが、震えた声で聞いた。
「ないな……マッチはない」
俺も、震えた声で答えた。
マッチの小さな灯火があれば、かじかんだイフの手を暖めてやれるのにと思うと、辛いものだ。
「じゃあ……薪はありませんか?」
イフが、すがるような声で聞いた。
「おいちょっと……何で要求がマッチから薪にグレードアップしているんだ?」
「じゃあかがり火でもいいです……」
イフは、むくれたようなような声で言った。
「何でさらにランクアップしてるのっ? て言うか、話聞いてるっ?」
俺は、思わずツッコんでいた。





