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マーシャルの言葉は、確かめるような試すような期待しているような、何とも不思議なニュアンスだった。
「それって、どういう意味……」
「次のかたー。どうぞー」
俺の言葉には無言でウインクで応えて、マーシャルは、次の冒険者の呼び出しをしていた。
(……何だったんだ?)
俺は、マーシャルの態度の意味がわからずに、内心首を傾げた。
「……ん?」
俺は、自分の学生服の袖がくいくいっとひっぱられているのに気づいた。
見れば、イフが少し恨めしげな目を向けながら、俺の学生服の袖をひっぱっているのである。
「……ソラは、やっぱり節操なしですね」
と、イフが、ぼそっと言った。
「何のことだ?」
イフの言っている意味がよくわからずに、俺は、そう返した。
「自覚がないんですか? ……ますますたちが悪いです」
イフが、少しむくれたように言った。
「宿屋の銀月亭の看板娘さん、知っていますか?」
イフが、言った。
「すごく綺麗な人なんですが」
イフにじっと見られた俺は、アカリの顔をを思い出しながら、
「アカリのことだろう? 知っているよ。世話になっているかりな。綺麗かどうかは、俺にはわからないな。好みの問題だろう」





