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「わあ、すごいっ!」
マーシャルが、感嘆したように言った。
「すごいぃほしいぃなぁ!」
マーシャルは、眼鏡をきらきらさせながら祈るように両手を合わせて、身体を左右に揺らした。
まさにオーバーリアクションの様相である。
「あんた、そんなキャラでもないでしょう! それに、少しぶりっ子にならないでもらえますか?」
俺もオーバーリアクション気味になっているのは、ツッコミが追いつかず、息切れ気味だからにほかならなかった。
おもむろに、イフがしゅったっと挙手した。
「ソラ。私もそれほしいですっ」
対抗心も燃やすかのように、イフもせがんできた。
「イフ、話がややこしくなるから、もう少しおとなしくしててもらえるかな? この剣は俺の装備品で、それ以上でもそれ以下でもないぞ」
事態がこれ以上ややこしくなるのは避けたいところだ。
イフのサイドテールが、ぴょんぴょんと揺れた。
「いやです。私もほしいです」
「あのな……」
マーシャルは、恍惚としたまなざしで、
「……私、ココノエさんの太くて大きいそれ、すごくほしい」
「……うん。文脈的には問題ないと思うんですがね。表現的にどうかと思いますよ、それ」
俺は、疲労こんぱいしながらも冷静に指摘した。
「……わ、私も、ソラの太くて大きいの、ほしいですっ!」





