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「とんでもない! 人様を見て笑うなんて、とんでもない話です……ぷーくす……ぷーくすくす!」
「もう隠す気ないな!」
俺は、ツッコみ叫んでいた。
「すみません……だって、お土産の聖剣……ぷーくっす」
「微妙に笑いかたのバリエーションとアドリブ充実していますねえ!」
「そんな私なんてまだまだです……ぷっくす」
「誉めてはいませんよっ?」
俺は、流れを変えるべく、大きく息をついた。
「……ええと、マーシャルさんが武器防具にも造詣が深いのは、昨日の感じで何となくわかっています」
当然、あの武器屋の親父の店のラインナップも知っているのだろう。
「やっぱりあの武器屋で購入したのですか?」
と、マーシャルが、聞いた。
「譲り受けたんですよ」
俺は、少し憮然とした調子で言った。
「あのお店は、いい商品もいっぱい置いてあります。この冒険者ギルドでも常連のかたは結構います。逸品ぞろいの中から、それを選んだ経緯が気になったものですから」
(なるほど)
俺は、何となく合点がいった。
俺のいた世界で大仏とかサブレーが有名なところに修学旅行ででかけて、その場のノリで謎の土産品である微妙な価格帯の木刀を買った学生が、いたとしよう。
そんな学生を生温かい目で見守っているような、そんな心境なのではないだろうか。
俺の想像したニュアンスが正しければ、マーシャルの態度も、納得はいかないが、理解はできる。





