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「ソラ……?」
イフが、不安げに俺を見た。
マーシャルは、一呼吸おいた。
(何だ……?)
マーシャルの真剣な表情に、俺は手にじんわりと汗を感じた。
俺とイフとマーシャルのトライアングルの空間に、ぴんとした緊張の空気が奔った。
「変わった剣……ですね?」
マーシャルが、そう聞いてきた。
俺が装備しているエクスカリパーのことを言っているらしかった。
「またそれかいっ!」
俺は、誰にとでもなくツッコんでいた。
伝説の聖剣エクスカリパーのくだりは、武器屋の親父とのエア剣戟と街の大通りでの少女とのラップで、もうお腹いっぱいである。
「どうかしたのですか、ソラ?」
イフが心配そうに聞いてくるが、俺は頭の片方をおさえながら、
「いや、大丈夫だ。何でもない」
「頭が痛いのですか?」
「大丈夫、頭痛はない。チャンバラとラップの次は何がくるんだろうなと、頭を悩ませていただけだ」
「……?」
頭上にハテナマークを浮かべているイフに、俺は、
「気にするな。いやむしろ気にしないでもらえると、助かる」





