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俺は、自分の学生服を見た。
たしかに、この異世界においては俺のこのいでたちは奇異に見られるかもしれない。
ただし、学校の制服は、伝説の防具でも何でもない。
マーシャルが勘違いしているだけなのだ。
(この人が、実は古文書にも精通しているということをわすれていたな)
と、俺は、思った。
いずれにしても、古文書に出てくるような伝説の防具と学校の制服はニアリィイコールにもなりえない、まったくの別物である。
「あのですね。これはですね……」
俺が言いかけると、マーシャルは、人差し指を自身の口元に当てて、
「大丈夫。"紫紋の聖服"のことは秘密にしていますから、安心してください」
と、言った。
わかっているからみなまで言わなくていい、そんなアピールである。
(……)
とりあえず話を進めようと、俺は、思った。
「今日のクエストの申請をお願いします」
と、イフが、言った。
「今日は、ネムリアの森での調達クエストですよね。昨日予定申請の受付済みですから、少し待ってくださいね」
俺たちが今日やるクエストは、デエカの実の調達クエストである。
場所は、ヴィセントの街から五ロキルトーメ、すなわち五キロメートルほど離れた、ネムリアの森というところだ。
俺は、イフから受け取っていた地図を見た。





