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4-57

 冒険者ギルドのマーシャルは、フレームなしの眼鏡がよく似合っている知的な感じの女性である。


「マーシャルさん。おはようございます」


 俺たちが挨拶すると、マーシャルもにっこりと笑って、


「おはようございます」


 マーシャルは、俺のほうを見てにんまりと恍惚(こうこつ)の表情を浮かべていた、美人な容貌にはあまり似あわない表情だ。


「……俺の顔に何か付いていますか?」


 と、俺は、少し不安を覚えて聞いた。


「そんなベタなことを言わないでください。何も付いてなんかいませんよ」


「はあ……」


 俺は、生返事をした。


「それ、のことですよ」


「それ、ですか?」


 マーシャルは、ひそっと声を小さくして、


「やっぱりいいですね」


 と、耳打ちするように言った。


「何のことですか?」


 と、俺は、聞いた。


「いやだなあ。あなたの服……見たこともない装飾そして刺繍された紋章……そう、聖騎士(パラディン)が装備していたという伝説の防具、"紫紋の聖服(パープルパラディン)"のことですよ」


 "紫紋の聖服(パープルパラディン)"、やはりとんでもなく中二心をくすぐるニュアンスの名前である。


 実体は、俺のいた世界の何の変哲もない普通の学校の制服である。

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