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辛子明太子と双璧をなす名物、それがとんこつラーメンである。
醤油ラーメン、味噌ラーメンに塩ラーメン、それからとんこつラーメン、ラーメン四天王の一角を担うと言っても過言ではないだろう。
とんこつラーメンは、豚骨主体の乳白色のスープと極細麺が特徴のラーメンだ。
豚骨を強火で沸騰させるため、骨のゼラチンなどが溶け出して白く濁ったスープになる。
麺の硬さを注文する点や替え玉もとんこつラーメンの特色になっている。
麺の硬さを表す呼称としては、「ハリガネ」「バリカタ」「カタ」「やわ」「バリやわ」などが使われる。
俺のおすすめは「カタ」である。
硬さのカテゴリーで言えばちょうど真ん中をとっているから、無難でありかつ他のラーメンにはない独自の麺の歯ごたえを感じることができるからだ。
俺が、辛子明太子やとんこつラーメンにうんちくを持っているのは、父親の転勤でその地方に二年ほど住んでいたからだ。
ちなみに、物価も安いし、野菜や果物も美味しい。
(とにかくだ)
と、俺は、思った。
イフとのやり取りには、のれんに腕押しの雰囲気すら見えかけていた。
このままではらちがあかないだろう。
俺は早々(そうそう)に白旗をあげた。
「わかった。時と場所は重要だ。次から気をつける」
俺は、降参だと両手を胸の高さまであげた。
「ちなみに正解は? ぽむぽむの適正な時と場所を教えてくれ」
「誰も見ていない時です……あと、できれば二人きりとか……」
と、イフが、むくれた顔をしながらも恥ずかしそうに言った。





