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「謝ればいいというものではないです。誠意を見せてください」
と、イフが、言った。
擬態語で示すのならば、まさにつーんとした様子である。
イフは、両手をワンピースの後ろ側にまわして、俺の答えを待っていた。
「誠意ねえ……」
俺は、困って言葉に詰まった。
イフは、つーんとしたままでまっすぐに俺のことを見て、
「そうです」
とだけ言った。
俺は、少し迷ってから大きく頷いて、
「わかった。さっき覚えたばかりのI・KI・RIラップを披露しよう」
「却下です」
俺の提案は、即座にキャンセルすなわち即キャンされていた。
「なぜだ?」
俺は、DJのスクラッチのしぐさのまま止まっていた。
イフは、そんな俺を冷静な調子でじーっと見つめていた。
「何か寒い空気を感じただけです」
と、イフは、すらっと言った。
「……」
なかなか鋭い感性である、そしてなかなかはっきり言うものである。





