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俺とイフのパーティーはと言えば、今日取りかかるクエストはすでに決めてあるから、掲示板の人ごみにまぎれる必要はない。
(何事も用意が肝要なのだよ)
と、俺は、一人どや顔で頷いていた。
ギルド全体の雰囲気は、一言で言ってしまえば、やはり整然というよりも雑然である。
すっきりというよりもごちゃっとしているし、デパートのおしゃれな中華やイタリアンの飲食店というよりもファミレスやファーストフード店のノリだ。
来ているほとんどの人間は、冒険者かそれに関係のある者だろう。
目つきが鋭かったり腕っぷしが強そうだったりと、街の人々にはない独特の空気を肌で感じた。
「さて……と」
俺は、冒険者の人ごみの中から、目当ての人物を見つけるべく、辺りを見渡した。
はたして見覚えのある白いワンピースの少女を見つけた。
言わずもがな、俺のパーティーの相方である、イフだ。
イフのほうも俺に気づいたのだろう、小走りにかけよって、はこなかった。
その場で待機したままだ。
遠目にイフの表情が何となく見えて、俺は内心肩をすくめた。
俺は、イフのところまで歩いていった。
「……遅刻ですよ」
イフの声は、少し不機嫌そうだった。
第一声が、軽く軽蔑の眼差し付きで、これである。
「すまん。遅れた」
俺は、素直に謝った。





