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母親の一喝が飛んでいた。
「わっ」「おおっ」
女の子と俺は、びっくりしてたじろいだ。
「人様の迷惑になるようなことはしちゃいけませんって、いつも言っているでしょう! だいたいいつも……」
怒りテンションである。
母親は、俺に対しても声をあげていたことに気が付いて、
「……す、すみませんでした」
と、申し訳なさそうに言った。
母親は、俺にぺこりと素早く頭を下げて、女の子の腕をがっしりと掴んで、そそくさと歩みを早めた。
「お兄ちゃん、ばいばいーっ」
女の子は、にこにことしながらぶんぶんと手を振った。
「ああ。ばいばい」
と、俺も、女の子に合わせる感じで軽く手を振った。
女の子と母親の二人組は、なかなかのインパクトを残しながら、俺とすれ違っていった。
疾風怒涛の出来事である。
「……何だったんだ?」
と、俺は、独り言ちた。
俺は、剣にすっと触れた。
さすが聖剣エクスカリパー、さっそく主である俺をそっとしておいてくれないようだ。
気を取り直して、俺は、通りを歩いた。





