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女の子は、まったく悪意のない顔で、不思議そうに、
「どうしてあのお兄ちゃん、あんなにハデハデな剣を持ってるの?」
と、母親に聞いた。
早速好奇の目に触れられてしまったようだが、小さい子と言ったら何にでも興味津々(きょうみしんしん)のお年頃だ、俺としてはさして気にもならなかった。
「……あんまりじろじろ見ちゃいけませんよ」
と、母親は、ささっと俺のほうから視線をそらして、女の子の視線も手で制した。
警戒の色がこもった声である。
(……ぐぁ)
母親にはどうやら俺が危ない人に見えているようにも、見えた。
女の子は、ぱああっと目を輝かせていた。
「ああいうの何て言うか、私、知ってるよ! イキってるっていうんだよね!」
「……こらっ、あんまり見ちゃいけないって言ったでしょう」
母親は、ひそひそと小声で女の子をたしなめた。
「わー。イキってる、イキってる~っ!」
女の子はノリノリで、万歳までしていた。
(……)





