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「……カリパー……パー……パー……パー……」
ポーズはそのままで、武器屋の親父の声は徐々に小さくなっていった。
じんわりと武器屋の親父の声が店内に響いて、やがてフェードアウトしていった。
「……」「……」
俺と武器屋の親父は、無言で顔を見合わせた。
俺は、真顔で、
「いや。セルフエコーは結構ですよ?」
武器屋の親父も、俺と同様に真顔で、
「……結構冷ややかな反応だな、おい」
二人とも黙ること、数秒間である。
なんとも微妙な空気が流れた。
俺は、ゆっくりと息をついてから、
「だいたい何をやっているんですか?」
「何ってそりゃあ、エア振りぬきに決まっているだろう?」
武器屋の親父にさも当たり前のことをいう感じに、逆に聞き返される始末である。
「エア振りぬきをいきなり披露しないでください。びっくりしましたよ」
と、俺は、言った。
「なんだ、ノリが悪いな。聖剣なんだぞ」
「いえ。聖剣ですよね?」
「フィニッシュを決める時の決め台詞といったら、技名や武器名を叫ぶ、これだろう? 血湧き肉躍るというやつだ」





