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(もうそろそろ行かないとな)
と、俺は、思った。
イフを待たせるわけにもいかない。
「……エクスカリパー、ありがたくいただきます」
俺は、改めてお礼を言った。
「礼には及ばないさ。それよりも、一ついいか?」
「何でしょう?」
と、俺が聞くやいなや、武器屋の親父が木製のイスからがたりと勢いよく立ち上がった。
「……なっ!」
俺は、身構えていた。
武器屋の親父が、両手を組むようにしてそのまま真上に大きく振りかぶったからである。
瞬間的に、びりびりとした大気の震えを感じた。
凄まじいプレッシャーである。
(……っ!)
一瞬の動きをも見逃すまいと中腰になり凝視する俺の前で、怒号に近い叫びが放たれた。
「エクス……カリパーーーーーーーーーー……ッッッ!」
一瞬、時が止まったのか思ったほどである。
武器屋の親父は、まるで剣を振りぬいた時ののようなモーションで止まっていた。
「……ぉ……おう」
俺は、敬語にもなっていない妙な相づちをうった。





