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"入力実装"は、格闘ゲームのコマンドに近い性質をもつ、コマンドをなぞって力を振るうという能力である。
力を発動する時には、すべての視界が、ナイトビジョンによる無色彩の映像のように変容する。
その際の緑のモノクロームの視界は、格闘ゲーム、いわゆる格ゲーでの超必殺技を使った際の演出である画面の暗転に似ている。
そして、閃光が奔って、格ゲーの超必殺技でよく使われるコマンドが閃く。
コンパネのアーケードステックをさばくように、浮かんだ文字列に導かれるように脳内でそのコマンドをなぞると、そのコマンドに対応した技が発動する。
以上が、"入力実装"の仕様である。
(……っ)
俺がとまどったのは、今までの発動タイミングが、チンピラたちとの騒動とスライムの群れとの戦闘といった、戦いの場面しかなかったためだ。
まさかの街中の武器屋の中でである。
すべての視界が、ナイトビジョンによる無色彩の映像のように変容した。
緑のモノクロームの視界は、格闘ゲーム、いわゆる格ゲーでの超必殺技を使った際の演出である画面の暗転に似ている。
そして、閃光が奔って、文字列が閃いた。
214+小P。
格ゲーの超必殺技でよく使われるコマンドだ。
レバー入力とボタンを同時押しをすることで当該必殺技が発動するのだが、ある程度格ゲーに慣れ親しんでいる者であれば、コマンドを見れば指先が自然に反応してそのコマンドをなぞることができる、電卓やキーボードのブラインドタッチと同じようなものである。
コンパネのアーケードステックをさばくように、俺は、浮かんだ文字列に導かれるように脳内でそのコマンドをなぞっていた。
「……っと!」
半ば反射的に俺が受け止めていたのは、一振りの剣だった。
武器屋の親父は、不敵な笑みを浮かべていた。
「よく受け止めたな」





