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会社や家の存続や繁栄という目的のために、当人同士の同意よりも優先させて結婚がなされる。
体裁上、一応お見合いという形がとられることもあるが、比喩的に政略結婚と呼ばれることが少なくない。
会社や家が関係してくるから、パターンは様々である。
先輩と後輩との間での、それぞれの関係者の子同士。
名家と名家との間での、それぞれの関係者の子同士。
銀行と取引先の企業との間での、経営者の子と銀行幹部。
銀行と取引先の企業との間での、経営者と銀行幹部の子。
親会社と子会社との間での、それぞれの関係者の子同士。
ある企業とその株主との間での、それぞれの関係者の子同士。
同一社内の上司と部下との間での、それぞれの関係者の子同士。
例を挙げれば、枚挙にいとまがないだろう。
しかし、絶対的な前提条件として、結婚は基本的に両者の合意が必要なはずである。
好きな者同士が結婚するのは、当たり前だ。
好きでない者同士なら、結婚を断ればいいのだ。
しかし、上下関係で下になる者に断る機会そのものが与えられない場合も少なくない。
事実上断れないケースもある。
断ると、取引の関係で言えば、取引停止もありうる。
断ると、組織の関係で言えば、解雇や閑職や左遷もありうる。
断ると、それぞれの家庭の関係で言えば、勘当や相続廃除などのペナルティを課されることもある。
そうなってくると、首を縦に振るしかないこともあるかもしれないのだ。





