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「え……」
俺は、言葉に詰まった、一体どういうことなのだろうか。
俺の疑問に答えるように、武器屋の親父は、話を続けた。
「ノーハン商会がリリーカルナ商会と手を結ぶというわけだ。何でも、ノーハン商会きっての切れ者と言われている、若頭補佐のセドリグ・ノーハンというやつが、リリーカルナ商会の会長……イフちゃんのじいさんなんだが……と交渉したらしい」
「イフが……リリーカルナ商会の会長の孫娘……」
と、俺は、呟いた。
白いワンピースの少女。
小柄で俺よりも年下で、雰囲気的に女の子と言ったほうがしっくりくる少女。
白銀の少し長めのボブカットの髪型が目をひく少女。
それが、イフ・リリーカルナだ。
リリーカルナ姓を名乗っているのだから、イフはリリーカルナ商会とは何らかの関係があるとは踏んでいたが、商会の中心部も中心の位置にいるようだった。
「俺も、セドリグのやつがどんな手を使ったんだか、さっぱりわからないがな」
「……」
俺は、昨晩の冒険者ギルドの酒場での俺とセドリグのやり取りを思い出していた。
『イフがギルドでパーティーを組んだと聞いたものだからね。イフの将来の伴侶である僕としては、どんな人物なのか気になっていたのさ』
『……って、伴侶だって?』
「仁義を重んじるリリーカルナ商会と何でもありでのし上がってきたノーハン商会。水と油の関係同士が、なぜ今このタイミングでという気はするが……」
武器屋の親父は、言葉を切りつつ、
「思い当たるふしがないわけでもない」
と、付け加えた。





