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4-19

「ある日、ある男がやってきて、こう言うわけだ。『ノーハン商会さんの品も扱われたらどうですか?』とな」


 武器屋の親父は、右手の手の平を俺のほうに見せながら、話した。


「すると、雑貨屋の主人は、こう答えた。『うちは前からお付き合いしているところがあるので』とな。次の日、事件が起こった」


 しゃくりと静かな音が響くなか、武器屋の親父の話は続けられた。


「次の日、雑貨屋は、謎の暴漢(ぼうかん)の襲撃にあった。毎日きちんと掃除をしていた窓ガラスは割られるわ、綺麗に陳列されていた商品は壊されるわ、主人は殴られるわ、とにかくめちゃくちゃにされた。そんなことが、三度か四度も連続して起こった」


 武器屋の親父は淡々とした調子で話し続けていたが、静かな怒りの感情がその中に込められているように、俺には思えた。


「暴漢……チンピラってことですか?」


 と、俺は、聞いた。


「そう言ってもかまわないだろうな。お前さんが一昨日やり合ったような組織の下っぱ構成員とか、間接的に商会と繋がっているやつらとか、そういうのだな」


「……まるで潰し屋だな」


 俺の呟きに、武器屋の親父は頷いた。 


「そんなことがあってから、雑貨屋の主人は、男に勧められたノーハン商会の品を扱うようになった」


 と、武器屋の親父は、話をしめた。


 おおよそのところはわかった。


 ノーハン商会の裏の顔というわけだろう。


 ならず者とかチンピラをうまく使って、合法と非合法のすれすれのラインで、販路を拡大してきたのかもしれない。


「ひどい……ですね」


 しゃくりという音が、店内に重く響いた。


「……あのですね?」


 俺は、武器屋の親父に問いかけていた。

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